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エルフィーでハーレクインもどき書いてみる(46)

はじめに

 この長文記事は、「銀英伝をハーレクインロマンス化する」というコンセプトで書かれたブログ不定期連載小説です。原作準拠の世界観から、「リップシュタット戦役の最中に、高齢のリヒテンラーデ公がキルヒアイスよりに先に亡くなってしまった」というIFで始まり、そこから原作世界とは違う方向に話が進みます。主人公は、前述の事情で一部粛清や流刑を免れたリヒテンラーデ一族の一人、エルフリーデです。彼女が流刑になっている親族を救う為、ロイエンタールと政略結婚し、ハーレクインロマンスもどきのツンデレ恋愛劇を繰り広げるベタベタで甘々な夢小説です。所謂「ノーマルカップリング話」、「ロイエル小説」ってやつです。キルヒアイスを除く帝国&同盟の主要キャラの殆どが死なずに皆で幸せになる予定。作中唯一のハーレクイン男、ロイエンタール元帥のお子ちゃまぶりを愛でつつ適度にイジメてます。原作者のご意向に沿って、BL、801などはありません。1~2週間に一度ペースの更新頻度を目指し、今のところ60回程で終了予定です。
長くなってしまった為、ブログを辿るのが面倒だろうということで、読みやすいように、倉庫に収納しました。検索などではじめてここに辿り着き、「最初から読んでやろう」という奇特な方は、↑の「Log&Presents」をクリックしてこちらからどうぞ。ブログに掲載したものは、3、4回分ごとに、不定期に倉庫へ転載していく予定です。

 1900時を回っても、立食パーティはまだ続いていた。
 ゴットルプ子爵を見送ったツェルプストは、猛烈な勢いで頭を回転させていた。
 今、自分の将来の為に、どう動くべきか。
 即ち、あの美しく魅力的な伯爵令嬢を手に入れる為には、どうするべきか。
 彼の思考はその一点に絞られている。
 その時、上司である宮内尚書の秘書官の一人が、尚書閣下がお呼びだと伝えに来た。
 ツェルプストは、一旦思考を打ち切ると、上司のいるホールの壁際に寄っていった。
 宮内尚書ベルンハイム男爵は、丁度、壁を背にして、控え室に続く通路近くにいた。
 だが、いつもは温厚で常に穏やかな笑を絶やさない男爵が、この時は見たこともない厳しい表情をしていた。
「奥様はどうされたのですかな? 子爵」
 ツェルプストは仕方なく、事情を正直に説明した。
「左様ですか。それでは致し方ございませんな。しかし、子爵、皇帝陛下は、臣下の私生活に干渉するような方ではないが、節度のない人間はお嫌いでいらっしゃる。あなたもそれをよく覚えておかれるが宜しい」
 冷水を浴びせかけられるとは、まさにこのことだった。
 ツェルプストは、去っていく宮内尚書の背中を見送りながら、暫く呆然とその場に立ち尽くしていた。
「ねえ、あの最前列にいた趣味の悪い女、誰よ?」
「誰のこと?」
「ほら、あのやたらでっかいエメラルドをこれみよがしに付けてた女よ。全く、今日の式典を何だと思ってるのかしら」
 ふと気づくと、後方で若い女性達の声が聴こえた。
 声の主は、エルフリーデの書いたシナリオを演じる、ヘレーネ、ベアトリス、サーシャ、アンナの4人組だったが、無論、ツェルプストはそんなことは知らない。
 4人は、ヒルダと共に今回の爆破テロ事件解決に貢献した功績が認められ、揃って少尉に昇進していた。
 だが、宮内尚書の言葉に自失状態のツェルプストには、振り返って彼女等を睨み付けるだけの気概はなかった。
「知らないの? 宮内省次官のツェルプスト子爵のご側室様よ」
「ええ? あれがそうなの? 何か、がっかりだわ」
「本当よねぇ。ツェルプスト子爵って、マリーンドルフ一門だし、あの歳で次官でしょう? 本人も結構ハンサムで洗練されてるのに、女の趣味は悪かったのね」
「確かにそうよね。今をときめくマリーンドルフ一門の貴族なら、側室のなり手なんて、いくらでもいそうじゃない? それをよりによって、何であれなのかしら?」
 その一言に、ツェルプストは、電流に打たれたように固まった。
 そうだ。そうなのだ。何で今まで気付かなかったのだろう。
 自分は別に、今の女を特別気に入って側室にしたわけではない。
 元々好みのタイプでもなかった。
 ただ、親族にすすめられるままに半分人助けのつもりで面倒を見ることになったら、懐妊という予期せぬ慶事が起こった。
 その歓びが、我を忘れさせ、冷静さを失っていたのだ。
 フレデリーケと結婚して7年、側室の女が懐妊するまで、ツェルプストはずっと自分達夫婦に子供ができない原因は、自分の方にあるのではないかと密かに疑念を抱いており、ただでさえ格上の家柄出身の妻に対して、常に負い目を感じていた。
 彼は、病弱とまではいかないが、決して頑健な方とは言えず、対してフレデリーケは、出会った当初からスポーツ万能の健康的な女性だったし、ヒルデスハイム伯爵家自体が多産系で長寿の家系である。
 だが、先進医療を受けて不妊原因を突き止めることも、不妊治療を行うこともしなかったのは、原因を決定付けられることにより、自分が男として足りない者である事実を突き付けられるように思えて怖かったからだ。それ故、敢えて現実から逃げていたのだった。
 だからこそ、元々大して好きでもなかった妾の女でも、懐妊したと知った時の喜びは言葉に言い尽くせないものがあった。
 だが、考えて見れば、あの女が懐妊したのなら、他の女性だって妊娠させることができるはずだ。
 ならば、自分の跡継ぎとなる息子を産むのは、あんな女よりももっと相応しい女性がいるはずだ。
 美しく、聡明で、血筋も良い女性。あのマールバッハ伯爵令嬢のような女性こそが、自分には相応しい。
 ツェルプストは、天啓を受けたようにそう思った。


 大広間中央の大テーブル脇に、数名の若いフェザーン人達に囲まれたマールバッハ伯爵令嬢の姿を見つけたツェルプストは、さり気無く彼女等に近づき、距離を縮めていった。
 耳を澄ませていると、令嬢は流暢なフェザーン語で、こちらの財界人の子弟らしき若者達と、会話が弾んでいる。会話の内容は、他愛の無い世間話らしいが、さりげなさの中にも彼女の深い教養が感じ取れ、ツェルプストは益々マールバッハ伯爵令嬢に惹かれていった。
「やあ、フロイライン・マールバッハ」
 会話が途切れた僅かな隙を見計らって、ツェルプストはオティーリエ扮する伯爵令嬢に声をかけた。
「これは、子爵様…」
 既にかなり前から彼の視線を感じていたオティーリエだったが、今初めて気づいたふりをして、ゆっくりと膝を折る。
「いや、今宵は無礼講ですから、堅苦しい挨拶はなしにしましょう。それより、フロイラインは、フェザーン語がお上手ですね」
 お世辞でなくそう褒めると、オティーリエは、恥ずかしそうに顔を伏せた。
「まあ…聞いていらしたのですか? お恥ずかしいですわ。学校で習っただけで、実際にフェザーン人の方とお話しするのは今日が初めてでしたの。皆様がゆっくり話して下さったお陰で通じたので、とても嬉しいですわ」
 謙虚に微笑する令嬢に、ツェルプストは更に好感度を上げた。
「とても初めてとは思えませんでしたよ。その分だと、学校の成績もよろしかったのでしょうね」
「高等科卒業の時は、銅メダルを頂きましたわ。でも、私など、フロイライン・マリーンドルフには及びもつきませんわ」
「ほう…それは…」
 ツェルプストは、感嘆の声をあげる。
 貴族女学院の高等科を学年3位で卒業するとは、かなりの才媛と言えた。
 ヒルダのように、帝国大学に入学できるレベルかどうかは微妙だが、帝国人女性としては、ハイレベルの学識と教養を身に付けていることは間違いない。
 いずれにしろ、同年代の妾とはえらい違いである。
 オティーリエは、謙遜しながらも巧みに自身の聡明さをアピールすることに成功した。
「すると、フロイラインは、こちらで大学に進学をお考えですか?」
 ツェルプストは、特に深く考えず、会話を繋げる為に何気なく訊いてみた。
 ここから先の台本はないから、オティーリエは、アドリブで乗り切らなければならない。
「そんな…私なんかが大学だなんて…」
「フェザーンでは、女性も当たり前のように大学や大学院に進学しますよ。入学資格を取得すれば、年齢制限もないから、若者だけでなく、子供から老人までも学ぶことができますよ。女性だって、結婚していても、子供がいても、本人の意思次第で入学できます。現に、コールラウシュ伯爵夫人だって、来年度の大学進学を名言しているそうじゃありませんか」
「それは…伯爵夫人は特別ですわ。あの方は、何でもご自分のなさりたいことができる方ですから。でも、私は…父が古い考えの人で…」
「これからは、帝国人女性の高等教育を受ける割合が増えるでしょうし、また、将来の為にもそうしていかなければならないというのが、新政府の方針です。女性だからといって、優秀な方が学ぶ機会を奪われてはいけませんよ」
 ツェルプストは、聡明だが古く頑迷な貴族社会に縛られてる姫君に、物分かりのいい男を演じて点数を稼ごうとした。
「やはりマリーンドルフ家の御一門の方は、開明的でいらっしゃるのですね。子爵様のご家族が羨ましいですわ」
 オティーリエは、即座に相手の意図を察して、絶妙なアドリブを返しながら、憧憬のこもった瞳で目の前の青年を見詰めた。
 ツェルプストは、胸の裡で快哉を叫んだ。
 これで、この女性は自分に好意を持ったと確信した。


 翌11月6日の退庁後、ツェルプスト子爵は、大本営に近いとある高級クラブで、赤ワインのグラスを空けながら、待ち人が来るのを待っていた。
 20時を5分程過ぎて、漸くその人物は現れた。
「お待たせして申し訳ない。ちょっと仕事が立て込んでしまいまして…」
 ゴットルプ子爵エドアルドは、そう言いながら待ち合わせに遅れたことを詫びた。
「とんでもない。こちらこそ、お忙しいところを急にお呼び立てして申し訳ございません」
 二人は軽く握手を交わすと、ツェルプストは、ゴットルプ子爵に席を勧めた。
 豪華なソファーに並んで座ると、まずは新たに注文したウィスキーで乾杯し、ツェルプストは、早速本題に入った。
「単刀直入に伺いたいのですが、子爵はもし私が本当に独身なら、フロイライン・マールバッハに求婚する資格があるとお考えですか?」
 ゴットルプ子爵は、内心でしてやったりとばかりにほくそ笑んだ。
 本来、旧典礼省から業務を引き継いだ宮内省の次官というポストにあるツェルプストならば、帝国中の貴族の戸籍データにアクセスすることが可能であり、そうすれば、現在のマールバッハ伯爵家に、娘はいないことくらい容易に知ることができた。ゴットルプ子爵も、それを想定して、わざわざ式典の前日にサーバーに侵入してデータの改ざんを行なったくらいである。
 身分制度が事実上崩壊した現体制下では、貴族の血統データなど機密事項でも何でもなくなった為、このハッキングは比較的簡単だった。無論、この一件が終われば、元に戻しておくつもりでいたのだが、目の前の美味し過ぎる餌にすっかり夢中になったツェルプストは、そんな基本的なリサーチすらするのを忘れていたらしく、データにアクセスした形跡はない。
 これでこの計画は成功だ。本当は、もっと時間をかけてその気にさせるつもりだったが、相手は思いの外早く餌に食いついてくれた。エルフリーデがさぞ喜ぶことだろうと思いながらも、ここは一つ、もうワンクッション置く為に、わざと困惑顔を作った。
「それは…勿論そうですが…しかし、今の状態ではまずいですよ。そちらの奥様とマールバッハ嬢は、同じ邸に暮らしているわけですし。前の妻と新しい妻が同居しているというのも…かと言って、今の奥様には、もう帰るご実家もないわけでしょう?」
「それは私も考えました。妻には、離婚するに当たり、相応の財産分与をするつもりです。その金で、フェザーンに残るもよし、オーディンへ帰るもよしです。彼女が暮らしていくのに不自由しないだけのものは慰謝料として渡すつもりでおります」
 これで、この計画は、完全にエルフリーデの筋書き通りになった。
 しかし、ゴットルプ子爵は、それでも今一度苦い表情を作った。
「ご側室の女性とお子さんはどうするおつもりです? ご令嬢が日陰者のような立場になっては、私がマールバッハ伯に何と言われるか…」
「それもご懸念には及びません。側室とその両親と子供は、官舎の邸の修繕が終わっても中には入れません。郊外にでも家を買って、そこへ住まわせるつもりです。子供はあくまでも庶長子です。爵位を継ぐのは、正妻の産んだ子ですから」
「なるほど。子爵がそこまでお考え下さっているとは。…解りました。そういうことでしたら、及ばずながら私も力になりましょう」
 ゴットルプ子爵が軽く胸を叩く仕草をして引き受けると、ツェルプストは、両手でがっしりと手を握ってきた。
「ありがとうございます。ゴットルプ子爵。恩にきます。これは、些少ですが、お受け取り下さい」
 ツェルプストはそう言うと、ポケットから金色のマネーカードを取り出して手渡した。縁談や官職を世話してもらった際に貴族社会で行われてきた、古くからの慣習である。金額はピンきりだが、こういった頼み事の場合は、だいたい一般家庭の月収の3ヶ月分程だと言われている。
「これはこれは。では、遠慮なく頂戴致します」
 ゴットルプ子爵は、俗物の仮面を被ると、ツェルプストに話を合わせてカードをポケットに仕舞った。
『ふん、これだから貴族ってやつは…』
 ツェルプストに迎合する態度とは裏腹に、平民として少年時代を過ごしたゴットルプ子爵エドアルドは、内心でそう舌打ちしていた。


 11月9日午後、ロイエンタール邸に暮らすフレデリーケの元に、ツェルプスト子爵の代理人と称する弁護士がやってきて、協議離婚の条件を提示してきた。
 子爵は、現在所有する現金資産の4分の1を慰謝料として支払うことを条件に、フレデリーケができるだけ速やかに離婚宣言書にサインし、現在仮住まいしているロイエンタール元帥邸を出ることを望んでいるという。
 提示された慰謝料の金額は、このフェザーンでもオーディンでも彼女が家政婦の一人でも雇って暮らす家を買い、特別な贅沢をしなければ、10年は暮らしていけるのに充分な金額だった。
 ツェルプスト家は、リップシュタットで滅びた多くの門閥貴族と違い、爵位も資産も一応安堵されていたが、それでも旧王朝時代の特権の殆どを失い、領地惑星や荘園を自主的に新政府に返納していた。その為、身代は旧体制下の時代に比べて大幅に縮小していた。
 そんな中で、現金資産の4分の1という金額は、夫なりの自分に対する誠意にも思えたのだ。
 フレデリーケは、その場で差し出された書類に淡々とサインをすると、7年間の結婚生活は呆気なくピリオドが打たれた。
 エルフリーデの裏工作を知らない彼女は、夫が突然離婚を決意した理由を、側室との間の子を嫡出子として育てたいと思い直したからだと理解し、離婚条件としては少々意外に感じられた、この邸を出て新居を構えるという条件にも、自分が気まずい思いをしたロイエンタール元帥夫妻の近くに、元の妻が居るのが煙たいのだろうと解釈した。
 この日から、彼女は晴れて旧姓のフレデリーケ・フォン・ヒルデスハイムに戻り、7年ぶりに昔の名を名乗ることとなった。
 翌11月10日、バーラトの和約が正式に破棄され、ビッテンフェルト提督率いる黒色槍騎兵艦隊の先発隊がフェザーンを発ったこの日、フレデリーケは、再び訪れた弁護士が持参したマネーカードを受け取ると、これで離婚に関する全ての手続きが完了した。
 フレデリーケは、早速新生活を始める為の情報収集を行い、その日のうちにオンラインでフェザーン都内のいくつかの物件をピックアップし始めた。
 エルフリーデも侍女達もゴットルプ夫妻も、もう暫くの滞在を勧めたが、フレデリーケは、できるだけ早く独立したいと言い、12日には、早くも近くのメイドサービス付きのコンドミニアムを契約してしまった。
 エルフリーデ達の住むロイエンタール邸からは、徒歩で10分程の距離であり、最近日参しているスケートリンクにも近い。
 せめて今月いっぱいくらいまではここに居てもらってはと言うシュヴァイツァー夫人やゴットルプ子爵夫人等の意見に、エルフリーデはそれ以上フレデリーケを引き留めなかった。
 彼女がこの先、帰還したミュラーとの仲を進展させる為には、この邸を出て一人になっていたほうがいいと判断してのことだった。
 吹っ切れた様子のフレデリーケは、これを機に、大学の通信教育を受けたり、統一された新ルールのフィギュアスケートのジャッジ資格を取得する為の勉強もしたいと言って瞳を輝かせた。
 昔の溌溂さを取り戻し、慌ただしく引越しの準備を始めたフレデリーケを、エルフリーデは眩しそうに見詰めながら彼女の幸せを願っていた。


 11月15日、ミッターマイヤー元帥率いる艦隊が、フェザーンの領宙域を離れ、いよいよ同盟領に向けての親征が本格化すると、帝国軍本隊の出征準備も急速に進められていた。
 ロイエンタールも自らの指揮していた艦隊と共に、総旗艦ブリュンヒルトに乗り込み、皇帝を補佐して全軍を統括することとなる。
 後衛を任されたミュラー提督も、本隊に少し遅れてフェザーンを発つはずである。
「プロージット!」
 そんな中、エルフリーデは、ボーデン邸でささやかな祝いの宴に参加していた。
 エルフリーデの策略が見事に成功し、ツェルプスト夫妻が、こちらの望む条件で円満離婚できたことと、ヒルダ達5人とリンザーの昇進祝い、また、亡きボーデン夫人の葬儀に参列するために、オーディンからアデナウアー家を代表して先行して到着したダニエラの歓迎会を兼ねた席だった。
「それにしても、伯爵夫人の計略は見事でしたわ。こう申し上げては失礼ですが、そのお歳で、末恐ろしい感じすらします」
 ベアトリスが、率直な言葉で賞賛する。
「私も、名脚本を演じることができて、役者冥利に尽きましたわ」
 隣に座るオティーリエも、深く感心している。
 エルフリーデは、実は今回の発案は、自分のオリジナルではなく、子供の頃に偶然聞いてしまった父と大叔父の会話がヒントになっていると打ち明けた。
「でも、ご自分の経験を元に計画を立て、それを実行し成功させるのも政治手腕というものですわ」
 ヘレーネが、微笑しながら更に賞賛する。
「ほんと、私が政治家だったら、絶対に伯爵夫人とヒルダだけは政敵にしたくないわね」
「あら、ひどいわ。それじゃ私がまるでソリヴィジョンドラマに出てくる黒幕みたいじゃない」
 アンナの言葉に、ヒルダが冗談混じりに抗議すると、一同が笑いの渦に包まれた。
 これから始まる同盟との一大決戦を前にしての、一時の平和だった。
「皆様仲がよろしくて羨ましいですわ。私もその場にいたら、ぜひ参加したかったわ」
 昨日フェザーンに着いたばかりのダニエラが、本心から羨ましそうに言った。
「申し訳ございません。私達の話ばかりで…」
 エルフリーデは、この腰の低い美しい元寵姫を一目で気に入っていたので、一人会話に入れない彼女を気遣った。
「いいえ、お話を聞いているだけで楽しいですわ。でも、その後、そのツェルプスト子爵という人はどうされるのですか? プロポーズしたい相手は実在しないのでしょう?」 
 ダニエラが、尤もな疑問を口にすると、エルフリーデは小さく頷いてこの事件のオチを語った。
 それによると、昨日、今度は叔父のゴットルプ子爵の方からツェルプスト子爵を呼び出し、マールバッハ伯爵令嬢は、オーディンで父親が急に結婚相手を決めてしまい、急遽戻ることになったと伝えた。愕然として言葉を失うツェルプストに、「お役に立てずに面目無い。こちらはお返し致します」と言って、先日のマネーカードを返して一件落着したのだと言う。
 ゴットルプ子爵によると、その時のツェルプストの顔を一目見せたかったとのことだった。
 一同から更に大きな笑いが起こる。
 和やかなうちに宴が終わると、明後日の葬儀での再会を約して、一人エルフリーデのみが、また裏口からリンザーに送られて背中合せに建つ邸へと戻っていった。
 邸に戻ると、ロイエンタールはまだ帰っていなかった。
 5日後に迫った出征に、最後の準備に余念がない段階であることは察しがついた。
 既に艦隊の大半は、フェザーン領宙域で隊列を整えて待機しており、旗艦クラスの艦が離陸するのを待っている。
 エルフリーデは、ふと思いついて、執事に出征前日の夜、現在フェザーンに残っている軍の最高幹部やロイエンタールの高級幕僚達を招いて、出陣の前祝いの晩餐会を開けないかと打診した。
 忠実な執事は、目を見開いて喜び、旦那様がお帰りになったら、早速相談して手配すると言ってくれた。彼は、まだ少女の年若い女主人が、精一杯帝国元帥の妻としての役割を果たそうとしていると理解したのだ。
 エルフリーデにとっては、晩餐にかこつけて、晴れて自由の身となったフレデリーケとミュラーを再度引き合わせる場を思いついたに過ぎない。
 ツェルプスト子爵は高官だが、公人としては一般には無名の人物であるので、貴族の社交界が実質消滅した現在の帝国では、離婚を公に発表する場もない。その為、フレデリーケが離婚し、元の姓に戻っていることを知る人間は、まだ限られている。無論、ミュラーも知らないことだろう。
 エルフリーデは、自室に入ってから侍女を呼ばずに一人で就寝の身支度を済ますと、室温を音声指示してから広い寝台に入った。
 全てが自動化され、便利な機械に囲まれたフェザーンの生活は、殆ど他人の手を必要としない。当初は戸惑ったエルフリーデも、ここに着いて一ヶ月でこの生活に慣れてみると、こちらの方が合理的で快適に感じるようになっていた。
 窓のシャッターが降り、広い寝台の中央より身体一つ分端に寄って横臥したエルフリーデは、この夜は日付が変わってもなかなか寝付けなかった。
 しんと静まりかえった広い部屋で、たった一人でいると、いい知れぬ不安感を覚える。
 ただでさえ広い寝台は、身体の大きな夫がいないと余計に広く、何時の間にか二人寝に慣れていた自分に気付くのだった。
 静寂の中で不安は焦燥に変わる。
 あの男もミュラー提督も、間もなく出征する。
 一旦戦闘に入れば、戦場では何が起こるかわからない。
 一度悪い想像が浮かんでしまうと、意に反して思考はとめどなく最悪の事態に突き進む。
『エヴァは、ずっと何年もこんな思いをしてきたのね…』
 既に進発しているミッターマイヤーの事を考えると、益々眠れなくなる。
 こんなことではいけないと頭では解っていた。
 軍人の妻として、帝国元帥の夫人として、毅然として夫を送り出さなければならないことも理解していた。
 だが、払っても払っても頭の中に去来する不快な思いを、16になったばかりのエルフリーデは、一人で抱えていることができなかった。
 堪らずに身を起こして、誰かを呼ぼうとしたその時、部屋の扉が静かに開き、見慣れた男の影が現れた。
 途端、全身が安堵感に包まれて、エルフリーデは数瞬の間、放心状態になった。
「幽霊でも見た顔をしてるぞ」
 からかうように冷笑して、バスルームに消えた夫を、エルフリーデは脱力しながら見送った。
 ロイエンタールは、15分程でバスルームから出てくると、無言で寝台の中へ入ってきた。
 エルフリーデは、反射的に夫に強くしがみついていた。
 この男の香り、この男の肌の感触、この男の温もり…
 今、全てを自分に刻み込んでおきたい。  
 それが、漠然とした不安を抱えているエルフリーデの切実な思いだった。
「お前…還らなかったら承知しないから。必ず…必ず無事に戻るのよ。私と、私達の息子の為に、お前は生きなければいけないのよ…!」
 ロイエンタールは、不思議な言葉聴いているような気がした。
「必ず、無事にお還り下さい」
 任官してからいったい何人の女が出征する彼に向かってその言葉を発したことだろう。
「わからんな。戦場では予測を超えたことも起こる。いくら俺でも敵にトマホークで首をはねられては生きておれんし、艦にミサイルが直撃すれば死ぬからな」
 女達に向かって、彼はいつもそんな言葉を冷笑と共に返すのだった。
 そして、無事に帰還を果たした後も、二度と同じ女と逢うことはなかった。
 だが、今渾身の力で彼を抱きしめる幼妻の言葉は、彼にとって同じ意味でありながら、全く違っていた。
「わかった。お前の願いを叶えてやろう」
 そう言うと、ロイエンタールは、彼女に数倍する力で抱き返したのだった。


 11月16日午後、親征に帯同する文官に与えられた出征前の特別休暇をヒルダはオヒギンス夫人となっているリンダーホーフ侯爵夫人ルトヴィカのサロンを訪れるのに充てた。
 エルフリーデと同じ時期に女児を出産予定だという彼女に、一昔前から帝国貴族の間で流行っていた老舗ブランドのベビーピンク色のバッグを祝いに持参したのだった。
 ルトヴィカは、嬉しそうにそれを受け取ると、暫く眺めた後、表情を引き締めて改めてヒルダに向き直った。
「ありがとう。でも、親征前でお忙しい皇帝主席秘書官のあなたが、わざわざこの時期に、自らお越し下さったのには、単にお祝いを届けにきただけではないのでしょう?」
 ヒルダは、予想以上のルトヴィカの勘の鋭さに満足して頷くと、怜悧な蒼碧色の瞳を向けて話を切り出した。
「お察しの通り、本日は、一つお願いがあって参りました。私の留守中、あなたがお持ちの情報網で、コールラウシュ伯爵夫人をお守り頂きたいのです」
「伯爵夫人を? ロイエンタール元帥の奥様を?」
「ええ」
 怪訝そうに問い返すルトヴィカに対して、ヒルダは先日来頭を離れないある疑念を打ち明けた。
 それは、先日解決した爆破テロ事件の実行犯の一人、リスナー管理官を聴取した時に、彼が話していたルビンスキー一派が次に企んでいるというものについてだった。
「すると、ルビンスキーが言っていたというその『叛逆を起こさせる軍の有力者』というのが、あなたはロイエンタール元帥のことだと思っていらっしゃるの?」
「ええ。何の根拠も確証もありませんし、こんなこと滅多に口にできないので、まだ信頼できる数名にしか話していません。第一、仮に本当にロイエンタール元帥に叛逆させるとして、どんな方法なのかも見当がつかないのです。あの方は、今回の親征でも常に陛下の傍らに在る主席幕僚でいらしゃるし、陛下の戦友ともいうべき国家の元勲です。でも、もし何か工作するとすれば、必ず伯爵夫人を利用するはずだと思うのです。私の杞憂に終わればそれに越したことはないのですが、もし、何か情報を掴んだら、すぐにここに知らせて欲しいのです」
 ヒルダはそういうと、4人組を代表してベアトリスの個人アドレスを知らせた。
 昨夜、ヒルダは迷った末、エルフリーデが帰った後、4人に対して、この件を話した。
 4人は一様に驚きの表情を見せ、ヒルダにそう考える根拠を訊ねたが、ヒルダとて確証があるわけではなかったので、具体的に何が起こるのかはわからないと正直に答えた。
 だが、妊娠中の伯爵夫人に何かあってからでは遅いので、彼女の周囲でもし何か妙な動きがあれば、自分の代理人として、すぐに行動を起こして欲しいと伝えた。その為に必要な法的に有効な委任状も4通作製し、4人それぞれに手渡した。その上で、ヒルダは、先日サロンを訪問した時に感じ取ったルトヴィカの周囲に漂う独特の空気を思い出し、彼女にも後援を頼みに来たのである。
「わかったわ。実を言うと、心当たりがないわけでもないの。こちらも確証がないので、今は詳しいことは話せないけど」
 ルトヴィカは、最近サロンに出入りするようになったリヒテンラーデ一族で級友でもあったアウグスチーネと、同じく親族のマリア・アンナのことを思い出していた。
「ありがとうございます。本来なら身重のあなたにこのようなお願いをするのは非常識だと判っているのですが、どうしても気になって…無理の無い範囲で結構ですので、ご助力下さい」
 ヒルダは、丁寧に礼を言いながらルトヴィカを気遣う。
「それは構わないわ。私自身のことは、オヒギンスが守ってくれるから、何があっても大丈夫よ。ところで、今回の親征とやらに、なぜ軍人でもないあなたまで同行しなければならないの?」
 ヒルダは、一瞬「え?」と言ってから、
「それは…私は陛下の主席秘書官ですから…」
 と、自信なさそうに答えるのが精一杯だった。
「そもそも帝大で政治学を学んで、建国の功臣でもあるあなたが、なぜ直接行政に携わらずに、秘書などというアシスタント的なポジションに甘んじているの? 新皇帝が、これまでの身分や年齢に関係なく適材適所で人事を断行するなら、国務尚書になっているのはお父上ではなく、あなたご自身ではなくて?」
「尚書だなんて…私にそんな野心は…」
 ヒルダは、何時に無く狼狽していた。
 元々女性の社会進出が極度に少ない帝国で、今の彼女の地位に女性が就いていること自体が異例だった。それ故、ヒルダ自身、今まで自分の待遇に不満や疑問を持ったことはなかったし、仕事にも充分満足していた。だからこそ、ルトヴィカの指摘は衝撃だった。自分では、自分のことを誰よりも先進的と思っていたのだが、無意識の内に、女性が男性と仕事の上で対等であるという認識を排除していたことに気づかされた。
「野心とかそういう問題じゃないわ。その功績に応じて相応しいポストに就くのに、男女間で格差が有りすぎることが問題なのよ。あなた自身はそれでも満足でも、後に続く女性達が、あなたを前例にされたら、男と同じ働きをしても、同じだけ報われないという不公正を味わうことになるのよ。あなたは、新帝国の建国に際して、軍の三元帥にも劣らない功績があったわ。ならば、その恩賞は、お父上ではなく、あなた自身が受けなければ意味がないのよ。でなければ、いつまで経っても帝国の女は男の所有物から脱却できないわ」
 ヒルダは、今度こそ言葉を失った。それは、彼女にとって大学時代の苦い経験以来の衝撃と言って過言ではなかった。
「ちょっと言い過ぎたわ。あなたはあなたのご苦労があるでしょうに。ごめんなさい。私は一度全てを失ったから、今ではすっかりフェザーン商人の妻なのよ。だからフェザーンの一市民としての思考パターンでしか考えられないの」
 ルトヴィカが、固まってしまっているヒルダに対して詫びた。
 しかし、ヒルダの美徳は、このような時でも、相手の意見を受け入れ、それを客観的に分析することができる度量がある点だった。
「いいえ、ルトヴィカ。あなたの言う通りだわ。私も、親征から戻ったら、そのことをよく考えてみます」
 ヒルダの脳裏に、自分と同年代で、生活の為に必死で勉強し、登用試験を受けて服務しているヘレーネ達の姿が過ぎった。彼女達の為にも、自分は主張すべきことを主張しなければならない。でなければ、ルトヴィカの言う通り、帝国の女性は何時まで経っても男と対等に生きていけない。それは、突き詰めていけば、皇帝が最も忌み嫌う女性の人間性を無視した後宮制度にも繋がるのだ。
「ありがとう、ヒルダ。私の暴言を聴き入れて下さって感謝するわ。暴言ついでにもう一つ言わせて頂ければ、いくら秘書だからと言って、あなたまでが親征に同行して、人殺しの手伝いをする必要性を私には感じられないの。いえ、私だけでなくて、多くのフェザーン人や帝国人の文官達も内心ではそう思っていてよ」
『人殺しの手伝い』という言葉が胸に突き刺さる。
「自由惑星同盟は、確かに民主主義を腐敗させたけれど、彼等は別に帝国領に侵攻して民衆を虐殺したり奴隷化したりするのを目的にしているわけじゃないでしょ? しかも軍事力を削がれた今となっては、やりたくてもそんなことはできないわ。だったら、わざわざ同盟領を制圧して、占領する意味がどこにあるのかしら? 無駄な戦闘で無駄に多くの命を失うだけじゃなくて? 彼等の政治が腐敗しているのが気に入らないからって、国を潰して併合しちゃうなんて、大きなお世話でしょう? 聡明なあなたが、なぜそんなバカらしい戦争ごっこに加担するのか、私には理解出来ないわ」
 ヒルダは絶句してしまった。
 そして、ルトヴィカの自分に対する『暴言』が確信犯であることに漸く気づいた。この女性は、自分に詫びる気持ちなど最初から持っていなかったのだ。
 だが、ここまで言われても、ヒルダはなぜか不快には感じなかった。
 自分でも心のどこかで感じていて、封じ込めていたことだったからかもしれない。
「まあ、理由は、『恋は盲目』ってことかしらね」
 とどめのような一言が、更に深くヒルダの胸を抉った。
「ヒルダ、あなたは、そんな男みたいな格好をしているけど、私なんかよりもずっと女らしい女だわ。逆にあの上から下まで女らしく着飾ったコールラウシュ伯爵夫人の方が、どんなに男に惚れても、頑固に自分を貫くタイプと見たわ。でも、私はあなたも伯爵夫人もどちらも好きよ。だから、あなたの申し出に喜んで協力するわ」
 そう言って微笑したルトヴィカに、ヒルダも徐々に日頃の冷静さを取り戻していった。
「無駄な人殺しをしない為に、私はこの親征に帯同するのです。その為に、たとえ陛下の御不興を買うことになっても、自分の信念を貫くつもりです。今日、あなたにお会いして、その覚悟ができました」
 ヒルダは、静かに立ち上がると、ルトヴィカに丁寧に礼をした。
 そして、この女性を生涯の友としようと心に決めた。
 自分に対して、ここまで歯に衣着せぬことを言える人間は、恐らくこれからもそう現れないだろうと思えた。
「あなたを信じているわ。ヒルダ。無事の御帰還をお祈りします」
 ルトヴィカは、立ち上がると、今度は真摯な眼差しで、固くヒルダの手を握り締めた。
 この日が、二人の永い友誼の始まりであった。

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エルフィーでハーレクインもどき書いてみる(45)

はじめに

この長文記事は、「銀英伝をハーレクインロマンス化する」というコンセプトで書かれたブログ不定期連載小説です。原作準拠の世界観から、「リップシュタット戦役の最中に、高齢のリヒテンラーデ公がキルヒアイスよりに先に亡くなってしまった」というIFで始まり、そこから原作世界とは違う方向に話が進みます。主人公は、前述の事情で一部粛清や流刑を免れたリヒテンラーデ一族の一人、エルフリーデです。彼女が流刑になっている親族を救う為、ロイエンタールと政略結婚し、ハーレクインロマンスもどきのツンデレ恋愛劇を繰り広げるベタベタで甘々な夢小説です。所謂「ノーマルカップリング話」、「ロイエル小説」ってやつです。キルヒアイスを除く帝国&同盟の主要キャラの殆どが死なずに皆で幸せになる予定。作中唯一のハーレクイン男、ロイエンタール元帥のお子ちゃまぶりを愛でつつ適度にイジメてます。原作者のご意向に沿って、BL、801などはありません。1~2週間に一度ペースの更新頻度を目指し、今のところ60回程で終了予定です。
長くなってしまった為、ブログを辿るのが面倒だろうということで、読みやすいように、倉庫に収納しました。検索などではじめてここに辿り着き、「最初から読んでやろう」という奇特な方は、↑の「Log&Presents」をクリックしてこちらからどうぞ。ブログに掲載したものは、3、4回分ごとに、不定期に倉庫へ転載していく予定です。

 朝食後にツェルプスト子爵夫人が、突然腹痛を訴えて自室に篭ってしまった時には、事情を知らない使用人たちは右往左往し、元凶であるエルフリーデは、罪悪感で胸が潰れそうだった。
 だが、ここまできたからには計画を遂行するしかない。
 エルフリーデは、シュヴァイツァー夫人に目配せをすると、すぐに医者が往診に訪れた。
「他の皆様も同じものを召し上がったとなると、食中毒ではないと思いますが、何か感染症の可能性もあります。取り敢えず採血をし、水分補給の点滴を続けて、今日一日は、お部屋で安静になさるようお願い致します」
 中年の医師は、神妙な顔付きでそう告げた。
 実はこの内科医も、予め懇意にしているファーレンハイト軍医中佐に頼んで手配してもらったグルである。
 しかし、今日は大事な国家の式典で、フレデリーケは夫に同伴すると約束してしまっていた。帝国の慣習的には、文官の政府高官である既婚者が、このような場に夫人を伴わないのは、格好がつかない。まして、貴族なら尚更だった。
 フレデリーケは、医師に向かって何か言いかけたが、第一声を発する前に、付き添っていたシュヴァイツァー夫人が、被せかけるように口を開いた。
「かしこまりました、先生。仰せの通りに致します。奥様のお世話は、私が責任を持って到しますので、何かありましたら、すぐにまたご連絡差し上げます。ご足労ですが、よろしくお願い致しますわ」
 ベルタの意を受けた医師は、それを聞くと、処方箋を手渡してさっさと邸を後にした。
 医者の書いた処方箋は、ただのビタミン剤と、夕刻以降に頃合を見計らって飲ませる予定の下痢止めの薬である。
 シュバイツァー夫人は、すぐにその紙を新しい若い侍女に持たせて薬局に走らせた。
「さあさ、奥様、そういう次第ですので、残念ではございますが、本日はご出席をお見合わ下さい。ご主人様へのご連絡ならご心配には及びませんわ。今、ゴットルプ子爵様がお戻りになられたそうですから、子爵様からご主人様のホテルへヴィジホンを入れて頂きます」
 そう言われてしまっては、フレデリーケも「よろしくお願い致します」と言うしかない。
 案の定、ヴィジホンの前で、ツェルプスト子爵は、顔を引き攣らせていた。
 この大事な時に、何と役立たずの女だ、という怒りが全身から滲み出ている。
「そういう訳でございますので、奥様をお預かりしております当家といたしましては、子爵には、大変申し訳ございませんが、何卒ご寛恕あって…」
 そう言って、余裕の笑で丁寧に礼をしたゴットルプ子爵も、勿論、この計画の協力者の一人である。
「わ…わかりました…そういうことでしたら、仕方ありませんな。こちらこそ、妻がお世話をかけます」
 ツェルプスト子爵は、辛うじて理性を保って、礼を返した。
 これが、伝えてきたのが使用人なら、「今すぐ通話画面の前に妻を連れて来い」と怒鳴り付けたことだろう。しかし、同じ爵位を持つ貴族で、しかも、オーディンで一悶着あったロイエンタール元帥の身内にして、大本営の要職にもある男に対して、流石に今をときめくマリーンドルフ一族のツェルプスト子爵と言えども、それ以上強く出ることはできなかった。
 通話室を出たゴットルプ子爵は、成り行きを気にして部屋の前で待っていたエルフリーデに対して、右手の親指をぐっと挙げて微笑し、守備良くいったことを伝えた。
 エルフリーデは、珍しく普段反りの合わないと思っていた叔父に満面の笑顔を返すと、今日これからの役割についても、期待していると言った。
「ああ、まかせておきなさい。これでも、演技力には多少の自信があるのだよ」
 叔父が軽く胸を叩くと、執事が、オティーリエ・フォン・ボーデン嬢が裏口からこっそり訪れたことを告げに来た。
 いよいよ今日の主役のお出ましである。
 エルフリーデは、オティーリエを1階の化粧部屋に通すよう命じると、既にそこには、数名の美容師やスタイリスト、この日の為に特別に招いた有名メイクアップアーティストが、待ち構えていた。
「やはりドレスは、このオフホワイトの帝国風がよろしいですわね。お嬢様の清楚なイメージを引き立たせ、本日の場に相応しいかと存じます」
 スタイリストの女性が、いくつか候補に並べた中から、高級だがシンプルなデザインのドレスを指した。
 オティーリエは、それに対して、「お任せします」と応じると、早速、このドレスに合わせて彼女のメイクと髪型を簡単に相談し始めた。
 オティーリエは、エルフリーデの書いたシナリオに従って、今日から少しの間別人になる。
 役柄は、マリア・アントニア・フォン・マールバッハ伯爵令嬢。
 ロイエンタールの従兄である現マールバッハ伯の長女で、貴族女学院の高等科を卒業したばかりの18歳の娘ということになっている。勿論、実在しない人物である。名前は、エルフリーデが最近読んだ地球時代の歴史小説の主人公からとって名付けた。
 卒業記念に、間もなく新帝都となるフェザーンに旅行し、親族であるロイエンタール邸に滞在しているという設定だった。
 オティーリエは、社交界デビューする直前にリップシュタット戦役が起こり、帝国の貴族社会にもまだ顔が知られていなかった。それでも念を入れて、より確実に別人になりきる為に、ブルネットの髪を緑の黒髪に染め、黒い瞳にカラーコンタクトを入れて青くすることになった。
「オティーリエ様、よろしいかしら?」
 1時間程して、自室で支度を終えたエルフリーデがやって来た。
 この日の彼女の衣装は、ベージュ系の地味目なドレスに、アクセサリーも弔慰を現す一連のパールのネックレスに、同じくパールのイヤリングのみという、控え目なものだった。髪も何の飾りもなく、簡単に結い上げただけである。指にも、いつもの大粒のダイヤやサファイヤはなく、唯一左薬指に結婚指輪が輝いているのみであった。
 これは、エルフリーデに限ったことではなく、今日の式典の性質を考えての判断だった。
 今日の皇帝列席の式典は、大きく三部構成になっていた。
 第一部は、先日の爆破テロ事件の全容が明らかになったことを皇帝自らがあらためて発表し、事件解決や救助活動に功のあった者達の恩賞や昇進発表、第二部は、高等弁務官としてハイネセンに在ったレンネンカンプの死の一般へ向けての正式な公表と、同盟領への出兵宣言であり、こちらの方が主だった。第三部は、無礼講の立食形式の夕食会となるが、こちらもテロ事件の被害者遺族や市民感情に配慮して、舞踏会などは開かれず、皇帝主催のパーティとしては、旧王朝では考えられない程簡素なものだった。
 爆破事件では、主犯や実行犯が誰であれ、フェザーンの一般市民に多数の死者が出た事に変わりはなく、また、密葬で弔われたばかりの皇帝の代理人たる高等弁務官の死も、国家として服喪しなければいけない重大事だった。
 その為、公職にある者は、武官文官全て喪章を付けて出席することが義務付けられた。彼等の同伴者に対しては、特に制限はなかったが、ただでさえ質素なローエングラム王朝の気風に配慮しても、一般常識に照らしても、この日は控え目な格好が望ましいことは明白だった。
 腹痛で欠席するフレデリーケも、この日の為に、裾から上半身にかけて、グレーから白のグラデーションになっているモノトーンの細身のドレスに、同じく弔慰を現すブラックパールのネックレスとピアスのセットを用意していた。
 部屋に入って来たエルフリーデを見るなり、化粧部屋に居た者達は、一斉に息を呑んだ。
 飾り気のない格好が、かえって彼女の素の美しさと、豊かなクリーム色の髪と大気圏再上層の青の瞳の輝きを際立たせていた。
「まあ…」
 感嘆の声を上げるオティーリエの目の前で、しかし、彼女以上にエルフリーデは、目の前の友人の姿に驚いて目を見開いていた。
「あ、ごめんなさい。ちょっと、こっちのコンタクトの調子が悪いみたいで…すぐ付け直すわ」
 オティーリエは、ドレッサーに座ったままそう言うと、一旦外した左目のコンタクトを再び装填しようとした。
「そ…そのままでいいわ。その方が、本当にあの男の親戚みたいでいいわ」
 エルフリーデが、そう言って制すると、オティーリエは、あらためて鏡に映る左右異なる色の目をした自分の姿を見詰めた。
 右目が青く、左目が黒い、丁度ロイエンタールと逆の金銀妖瞳の美少女が映っている。
「まあ、なんて神秘的で、印象深いんでしょう。確かに、この方が伯爵夫人の仰る通り、殿方に対してインパクトが強いですわね」
 事情を知らされておらず、オティーリエのことを、将来の新帝都に花婿候補を探しにやってきた本物の伯爵令嬢と信じている美容師がそう言うと、他の者達も互いに頷き合いながら同意した。
 オーディンと違い、ここフェザーンでは、カラーコンタクトで瞳の色を変えるのは、ファッションの一部であり、後で素の色と異なることが判っても、笑い話で済む世界だった。
 更に、多くの芸能人に指名を受けるというメイクアップアーティストの腕前と、フェザーンの先進技術もあってか、オティーリエの顔は、素顔とは別人のような印象に出来上がっている。
「元々お顔立ちがよろしいから、大して苦労はしませんでしたわ」
 と、自慢げに笑うメイク係に、エルフリーデは満足して、全員に約束の報酬を上乗せして支払うよう後に控える侍女のミミに命じた。
「こいつは、また、大層なことだな」
 玄関ホールで、支度を終えたオティーリエを紹介されたロイエンタールは、自分と逆の金銀妖瞳の少女に、皮肉を込めた目付きで冷笑を返した。
 彼にこういう態度に出られると、大抵の女は萎縮してしまう。いや、女だけではない、男の部下や使用人とて身をすくませる。
 だが、この日のオティーリエは、不快そうに自分を一瞥した帝国元帥に全く臆することなく、優雅に微笑みながら右手を差し出した。
「よろしくお願いしますわ。オスカー叔父様」
 一旦衣装を身に付け、メイクを施されると、たちまち役に入っていけるのは、流石に女優の卵だけのことはある。
 ロイエンタールも、小娘にこう出られては、大人の対応をせざるを得ない。
「こちらこそ、よろしく頼む。フロイラインには、伯爵夫人の酔狂に付き合わせてすまない」
 手を取って、軽く口づける真似をすると、オティーリエの胸が一瞬高鳴った。
 彼女は、同じ劇団に所属する若手俳優に1年以上も密かな思いを寄せており、ずっと年上の帝国元帥には興味はないはずだった。
 だが、今、その男を間近にして、心とは無関係に心拍数が上昇しているのだ。
『これが、帝国軍一の漁色家のフェロモンってやつなのかしら? アブナイ、アブナイ…』
 オティーリエは、せっかく入りかけていた役柄から、危うく戻りそうな自分の女優根性に、胸の内で密かに且を入れた。
 隣で一部始終を見ていたエルフリーデは、誰にも気づかれぬよう、またかという溜息を漏らした。とにかく、この男は、女を惹き寄せる魔力のようなものを持っていて、世の殆どの女性は、彼を目の前にすると、誘蛾灯に引き寄せられる虫状態になってしまうのだ。 エルフリーデ達が対面を済ませると、ゴットルプ子爵夫妻も現れ、5人は一台のランドカーに乗り込んで式典の行われるフェザーンドームシティのメインホールに向けて出発した。
 エルフリーデは、正面入口にランドカーが付けられると、真っ先に赤絨毯の上に静かに降り立った。
 いつものようにマスコミのカメラが待ち構えていたが、次にランドカーから降りた少女の姿に、周囲からどよめきが起こった。
 突然現れた金銀妖瞳の美少女に、誰もが咄嗟にロイエンタール元帥の親族を連想したが、この日もマスコミは個別取材を制限されており、赤絨毯から5メートル程離れた距離に、シールドが張られ、警護の近衛兵が並んでいた為、これ以上の詮索は誰にも出来なかった。
 マールバッハ伯爵令嬢に化けたオティーリエに続いて、こちらも控え目なモスグリーンのドレスを着たゴットルプ子爵夫人が降り、最後に子爵とロイエンタールが向かい合せの座席からほぼ同時に降り立つと、5人は揃って会場へと入っていった。
 1500時きっかりに皇帝一行が会場に姿を現すと、広いホールの最奥に、文武の高官とその夫人達が若い皇帝の玉座を囲んで整列し、他の軍人や官僚、財界人等とその同伴者達、民間からの招待者達は、それに向かい合う形で式典が進められていった。
 宮内省次官の要職にあるツェルプスト子爵と、大本営の事務方の高官である叔父のゴットルプ子爵は、丁度並んで最前列に立ち、向かって皇帝の右脇に立つオーベルシュタイン軍務尚書と、その隣に立つロイエンタールにピタリと付いていたエルフリーデの目の前にいた。
 案の定、フレデリーケが急病で同伴できなくなった子爵は、れいの妾の女を連れていた。
 女は、新政府高官の同伴者として、国家式典に出られるのが誇らしくてたまらないらしく、ここぞとばかりに着飾っていた。子爵にねだって買ってもらったらしい大粒のエメラルドの首飾りと対のイヤリングが、節操の無さを物語るようで、エルフリーデは不快だった。唯一の救いは、ドレスの色が淡いクリーム色であることくらいで、これが真っ赤なドレスにルビーだったら、もっと周囲の顰蹙を買ったことだろう。隣で子爵自身も渋い表情である。
 エルフリーデは、子爵と妾に嫌悪感を抱きつつも、事が予定通りに運んでいることに満足していた。
 第一部である爆破事件に対しての論功行賞が終わると、皇帝自ら今月中に、同盟領へ向けて親征することと、密葬で弔われたレンネンカンプ高等弁務官の死亡の経緯を公式発表した。
 更に11月10日には、早くも黒色槍騎兵艦隊が先発隊としてフェザーンを発ち、継いでミッターマイヤー元帥率いる宇宙艦隊の高速艦隊を先陣に、皇帝の本体も今月下旬には順次フェザーンを発つ予定である。
 この発表に軍服組は、一斉に士気を高め、拳を上げて「ジーク・カイザー」を叫び始めた。
 一方、私服の文官や、フェザーンの財界人達の反応は冷ややかだった。
「銀河帝国正統政府」という名の亡命政権を受け入れ、民衆を弾圧したゴールデンバウム王朝の復活を支援する形になったトリューニヒト政権は崩壊し、残っているのは、元々何らかの事情で前王朝の帝国を追われた人々とその子孫達の住む国家である。
 奴等が民主主義を腐敗させようが、民衆が堕落しようが、バーラトの和約により既に軍事力の大半を削がれている者達を、わざわざ莫大な戦費を費やしてまで征服し、全体主義の統一国家にする必然性が果たしてあるのか? という口に出せない素朴な疑問を抱えている者は少なくない。
 帝国支配を断固拒絶する同盟の残存軍事勢力と戦闘に入れば、少なからぬ戦死者が出ることは間違いない。
「まあ、そんなに戦争がやりたけりゃ勝手にやってればいいさ。軍が弱体化すれば、その分、我々の発言力が強くなるというものだ」
 これが、この当時の帝国の文官とフェザーン財界人達の一部の共通認識だった。
 特に、これまで自治領だったフェザーン人にとっては、戦争は所詮対岸の火事だった。身内に出征兵士のいない彼等にしてみれば、当然のことだろう。
 本来なら、ここで気骨のある閣僚の一人や二人が、死を賭して皇帝に換言し、異なる政体の国家との並存、協栄の道を説いても良さそうなものであったが、それを行うには、ローエングラム王朝は、皇帝自身が軍の最高司令官だけに、あまりにも軍部の力が巨大過ぎた。
 天才シルヴァーベルヒ工部尚書も、無論その理屈は理解していたが、既に次代の主役は、自分達のようなテクノクラートであると見ている彼には、出兵による軍の弱体化はむしろ望むところであった。


 大人達の大きな思惑の中で、エルフリーデの小さな企みは、着々と進行していった。
「ツェルプスト子爵、先程はどうも」
 立食パーティに移行して暫くした20時を少し回った頃、夫人と変装したオティーリエを連れたゴットルプ子爵は、さりげなくツェルプスト子爵に声をかけた。
 ゴットルプ子爵は、ツェルプストと妾の女に向かって、妻とマールバッハ伯爵令嬢ということになっているオティーリエを紹介した。
「やはりロイエンタール元帥のお身内の方でしたか」
 勝手に納得して礼を返す子爵に、オティーリエは静かに進み出る。
「はじめまして。マリア・アントニア・フォン・マールバッハでございます」
 オティーリエは、青年子爵の前につと進み出ると、名門貴族の娘独特の優雅な所作で、ドレスを摘んで宮廷式のお辞儀をした。そして、ゆっくりと顔を上げると、ほんの少し頬を紅潮させ、恥ずかしそうに目を伏せて見せた。なかなかの名演技である。
 その仕草と清楚な美しさに、目の前のツェルプストは、一瞬胸が高鳴った。彼にとって、こんな新鮮な刺激は、仲人にフレデリーケと初めて引き合わされた時以来である。
 隣の妾が、素早くその気配を察して、子爵と組んでいた腕に力を込めたが、ツェルプストは、無意識のうちに、その腕を邪険に振り払った。
 彼は、目の前の深窓の令嬢に、瞬時に心を奪われてしまっていた。
「フロイライン・マールバッハ」
 ツェルプストが、マールバッハ伯爵令嬢と思い込んでいるオティーリエに、ふいに呼び掛ける声がした。
 全員が声の主を振り返ると、皇帝主席秘書官が、凛とした姿で立っていた。
 この日のヒルダは、先日の式典とは打って変わり、男性官吏達と同じ文官の礼服に身を包んで男装していた。
 彼女は、今回の爆破テロ事件解決の功績が認められ、軍部に於いてこれまでの准将待遇から一階級昇進して、少将待遇となっていた。そして、このタイミングでマールバッハ伯爵令嬢に声をかけ、彼女を一旦この場から引き離すのも、シナリオに沿ったヒルダの役割だった。
「ヒルダお姉様」
 オティーリエは、両子爵達に向かって短く一礼すると、嬉々としてヒルダに駆け寄った。
 ヒルダは、ゴットルプ子爵夫妻には軽く目礼したが、ツェルプストは無視し、更に妾の女に対しては、あからさまに侮蔑の視線を送ってオティーリエと共にその場を離れた。
 チラリと横目で振り返ると、蒼白なツェルプスト子爵と妾の狼狽した姿が僅かに目に入った。
 ヒルダは、ツェルプスト子爵はともかくとして、芝居とはいえ、側室の少女が少し可哀想に思えてしまった。彼女とて、初めから好んで妾奉公に出たわけではあるまい。偶々正妻より先に子供を産んだことで新体制下で主流派と目される家の継嗣の母となり、思わぬ幸運に、若い彼女が自分を見失ってしまったとしても、致し方ないのではないか。エルフリーデよりも若干長く生きていて、多少は世間を知っているヒルダにはそう思えた。
「フロイライン、よろしかったら、ご一緒に、あちらで何か召し上がりませんか?」
 主人と今をときめく皇帝主席秘書官の冷たい態度に途方に暮れてしまった妾を、今度はゴットルプ子爵夫人が、さり気無く誘う。これも、シナリオ通りの台詞だった。
 いたたまれずに立ち尽くしていた少女は、子爵夫人の言葉に救われたように素直に従って二人の男達の傍を離れた。
「ふー、やれやれ、まったくもって、お互い気の休まる時がありませんな」
 ゴットルプ子爵エドアルドは、そう言いながら、同じ一門(ということになっている)で同年代の同じ子爵号を持つ男に対して、同意を求めるように少し大げさに嘆息して見せた。
 これから彼のささやかな一人舞台が始まる。
 ゴットルプ子爵は、丁度前を通りかかったウエイターを呼び止めると、白ワインのグラスを二つ取り、一つをツェルプスト子爵に手渡した。
 二人の青年子爵は、軽くグラスを掲げて乾杯すると、ツェルプストは、やけくそのように一気に呷った。
「何を仰るのやら。あなたは、マリーンドルフ一族として、大本営で皇帝陛下の覚えも目出度く、しかも姪御は、国家の元勲であるロイエンタール元帥に嫁いでいらっしゃる。それに引き替え、私はすっかり未来の皇后陛下にまで御不興を買ってしまったようです。最近じゃ、踏んだり蹴ったりですよ」
 自嘲とも不満ともつかない言い草で、ツェルプストは吐き捨てるように言った。
 オーディンでロイエンタール元帥夫妻と気まずくなってからというもの、どうも周囲の風向きが違ってきたように感じられる。
 それもこれも、全て躾のなっていない側室と、石女の正妻のせいだ。
 自分の増長を棚に上げて、ツェルプストは、その原因を女達に押し付けた。
「まあまあ、お嘆きなさるな。フロイライン・マリーンドルフはともかく、ロイエンタール元帥夫妻によく思われていない点は私も同じですよ。気位の高い姪は元々出自の卑しい母を持つ私を嫌っていますし、戦場で武勲を重ねて今の地位を築いた元帥にしてみれば、私のような男が大きな顔で大本営にいるのは面白くないでしょう」
 ゴットプル子爵エドアルドは、彼特有の処世術で、虚実を上手く取り合わせた言い方をし、巧みにツェルプストの懐に入り込んだ。案の定、ツェルプストは、目の前の男に対して途端に同情の篭った目を向けた。
 ゴットルプ子爵が、身分の低い母を持つ庶子であることは、当時の貴族社会では周知のことであったし、また、ロイエンタールのような軍人が、功なくして高官の地位にいる彼のような男を快く思わないだろうということも、容易に想像がついた。
 実際には、ロイエンタールは、あまり実権のない名誉職的な地位に、ローエングラム政権に従順な貴族が座っているくらいのことは、気に留めていなかったし、個人的にもエドアルドを嫌ってはいなかったが、ここは相手の先入観を大いに利用することにした。
「成程。貴殿のお立場は、察するに余りあります。しかも、今は、一時的とはいえ、そのロイエンタール元帥の官舎にご一家で一緒にお暮らしとは。確かに気の休まらないのも道理でしょうな。私などは、ホテル暮らしになりましたから、不自由とはいえ、その点では気楽なものです。工部省も気の効かない振り分け方をしたもんだ…」
 すっかり相手の話を信じ込んだツェルプストは、心底同情した口調で呟く。
 ゴットルプ子爵は、その勢いに乗って更に話を核心に近づけた。
「そうでしょう? しかも、私が文句を言えた義理じゃありませんが、あのご令嬢が来てからというもの、邸中がピリピリしてて、退庁時間が迫ると帰宅拒否症を起こしそうなんですよ。だから休日は、何かと理由を付けて妻と子供達を連れて、できるだけ外出するようにしているんです。まあ、お宅の奥様がいらっしゃるお陰で、姪も辛うじて激発しなくて済んでいますがね。その点ではこちらは感謝しております」
「あのご令嬢とは、先程のマールバッハ伯爵令嬢のことですか? 彼女が何か?」
 だが、情けなさそうに愚痴をこぼすゴットルプ子爵の言葉を、ツェルプストは、即座には理解できなかったようで、怪訝な顔で疑問を口にした。
 ゴットルプ子爵は、網に引っかかりつつある獲物に、内心でほくそ笑みながら、更に演技を続ける。
「いや、彼女自身が何か問題を起こすわけではありません。至って大人しい、いい娘さんですよ。ただ、見ての通り、あの器量でしょう? ただでさえ妊娠して気が立っている姪は、帝国軍一の漁色家と言われた夫の気が移らないかと、毎日気が気ではないのですよ」
 そう言って、ゴットルプ子爵は、十数メートル斜め前方で、来賓達の挨拶を受けているロイエンタール元帥夫妻を顎でしゃくって見せた。
 その視線の先には、常よりも夫に密着して、しっかりと腕を掴んでいるエルフリーデの姿があった。
「なるほど…」
 ツェルプストは、納得して頷いた。
『これは、お芝居なのよ。皆がそうした方がいいって言うから、仕方なくやっているのよ』
 周囲の視線を感じつつ、夫に組んだ腕に力を込めながら、エルフリーデは、自分自身にそう言い訳していた。
 突然現れた親族の美しい女性に、常に女性の心を惹いて止まない夫を奪われやしないかと神経を張り詰めている妊娠中の妻。
 不本意だが、それが今日のエルフリーデの役どころだった。
 当初、この演出はシナリオになかったものだったが、先日の会食の折に、オティーリエとヒルダの仲間の女性士官達に計画を話して協力を請うた時に、アンナ・ケンペル准尉の発案で生まれたものだった。
 プライドの高いエルフリーデは、当初やんわりと拒絶したが、ヒルダや他の女性達ばかりか、主役のオティーリエ自身からも、絶対にその演出を入れるべきだと言われて、仕方なく受け入れたのだった。
 だが、エルフリーデには、何よりもこんな些細なことにさえ意地を張ってしまう自分が嫌だった。
 隣の夫は、常と同じ端然と構え、彼を敬愛する部下の軍人達や、追従する文官や財界人の挨拶をやり過ごしている。
 その後方では、ゴットルプ子爵が、最後の詰めに入っていた。
「私よりも、毎日何かにつけ伯爵夫人に辛く当たられているご令嬢が気の毒でね。ご令嬢自身は、ロイエンタール元帥に興味はなさそうだし、元帥の方も単なる親戚の娘くらいにしか思っていない様子なのですが、やはりああいう男と結婚すると、妻としては疑心暗鬼になってしまうのでしょう」
「そうですか…可哀想に。しかし、この時期に門閥貴族のご令嬢がフェザーンにいらっしゃるということは、こちらで良い縁談でもお世話する方がいらっしゃるのではないですか?」
 すっかり話を信じ込んだツェルプストは、オーディンで自分の妾を一喝した気の強い伯爵夫人を思い出しながら、心底マールバッハ伯爵令嬢に同情した声を発した。
 目の前のゴットルプ子爵の方は、こうもシナリオ通りの反応を示してくれる相手に対し、内心で笑いが止まらなかった。
 遂に向こうから罠に飛び込んで来てくれたのだ。
「それなんですよ。ツェルプスト子爵」
 ゴットルプは、事が思い通りに進んでいる高揚感を抑えつつ、懸命に神妙な表情を作ってみせた。
「彼女はマールバッハ家自慢の一人娘ですからね。今のご当主のご令嬢の父上は、ロイエンタール元帥の従兄に当たる方なんですが…ご存知かと思いますが、あの家は、何代か前に既に没落しています。聞くところによると、元帥の母上も、莫大な借財を肩代わりするのを交換条件に、下級貴族で財を成した元帥の父上に嫁がれたとのことです。その甲斐あってか、この数十年はかなり持ち直してきているらしいですが、リップシュタット戦役以前から、門閥貴族としてはあまり裕福な方とは言えなかったらしくて、とても昔の栄華をには程遠い状態だったらしいのです。あなたもご承知の通り、元帥だけでなく、皇帝陛下はじめ、軍の最高幹部の方々は、新政権になっても、決して身内を取り立てたりしませんからね。こう申しては何ですが、あなたや私が今の地位にいるのは、女性で若年者のフロイライン・マリーンドルフを尚書に抜擢できない代替人事のようなものです。ミッターマイヤー元帥の父上でさえ、未だ市井の造園業者のままですしね」
 ゴットルプ子爵は、少し声のトーンを落とすと、さり気無く皮肉を浴びせてやった。
「うむ…確かに」
 ツェルプスト子爵も、流石にそう言われては同意せざるを得ない。
 最近つい忘れがちだが、旧体制が続いていたら、自分がこの若さで今の地位に就いていることは、まず有り得ないだろう。それくらいのことは、彼にも理解できた。
 一呼吸置いて、ゴットルプ子爵の長台詞は続く。
「そこで、マールバッハ家としては、美貌の娘を何とか権門に嫁がせて、往年の隆盛を取り戻したいところだったらしいんですね。折良くブラウンシュバイク公一門の侯爵家と内々で縁談が纏まりかけていたそうなのですよ。まあ、相手は30も年上の中年男で後妻だったらしいのですが、正妻だし、没落した家の娘にとっては願ってもない縁だったのでしょう。尤も、話が出た時は、彼女はまだ14、5歳で、相手も世間体をはばかって正式な婚約は数年後という話になっていたそうなんです。ところが、ご存知の通り、それもリップシュタット戦役で見事に当てが外れたというわけです。相手の侯爵は、ガイエスブルクで自殺してしまったらしいですから」
 話を聞いていたツェルプストの顔が、俄に高揚するのが見て取れた。
 そんなジジイでよかったなら俺が…と喉まで出かかっている声を必死で押さえ込んでいるのが、よく判る。
 ゴットルプ子爵は、吹き出したいのを堪えながら、更に台詞を続けた。
「そこで、マールバッハ家としては、今度は新政権下での勝ち組に、娘を嫁がせようと考えたわけです。だからわざわざこちらの社交界で目に留まるよう送り込んで来たわけですよ。ところが、ロイエンタール元帥ご自身は、母方の親族には昔からえらく冷淡でしてね。邸に滞在するのは認めたものの、それ以外のことには全く感知しません。仕方なく、私や執事が相手探しに奔走しているんですが、これがなかなか条件に合う人物がいないのですよ。姪は姪で早く彼女を嫁がせて追い出したいらしくて、毎日せっつくし、オーディンのマールバッハ家は頻繁にFTLで無理な条件を出してくるし、もう、いい加減疲れています」
「それで、マールバッハ家としては、やはり軍首脳の誰かにというお考えで?」
「そうだったらまだマシです。新王朝には、独身の将官など余ってますからね。今のマールバッハ伯は、ロイエンタール元帥の母上を下級貴族に嫁がせた先々代よりも余裕がある分、気位が高くてね、いつ戦死するかわからない軍人はダメ、しかも、このご時世でまだ爵位のある貴族で、財産があって、それなりの官職に就いている人物とか言っているのですから…」
 ツェルプストは、ごくりと唾を飲み込んだ。
 それならば、この自分こそが、ぴったりの相手ではないか。
 リップシュタットで、大方の門閥貴族が滅びた今となっては、財産や地位が安堵されている爵位持ちの貴族は限られている。あの美しく血筋もいい令嬢の相手に相応しいのは、自分しかいないではないか。しかも、親戚付き合いが希薄とはいえ、建国の功臣であるロイエンタール元帥の親族である。自分がもし独身なら、全ての条件を兼ね備えている。いや、今からでも独身になることはできる。幸い正妻のフレデリーケには子がいない。妾が産んだ長男は、庶子扱いにすれば構わないだろう。権門の貴族や皇族の男には、結婚前に庶子がいることは、昔から珍しくはない。元々、30も年上の男の後妻にしようとしていたなら、マールバッハ伯とやらも、自分に不足はないはずだ。
 ツェルプストは、瞬時にそんな妄想を抱いた。というよりも、そう考えるよう見事に思考誘導されていたのだ。
「本当に、ツェルプスト子爵のような方が、もし独身ならと、思わずにいられません」
 ゴットルプ子爵は、最後の一押しをした。
 しかし、ここで即座に飛び付く程、流石のツェルプストも甘くはなかった。
「ははは…ご冗談を。仮に私が独身だったとしても、ロイエンタール元帥も伯爵夫人も承知しますまい。なんせ私は、オーディンでお二人のご不興を買ってしまいましたからな」
「そのことでしたら、それ程問題ではありません。先程も申し上げたように、元帥は最初からこの手の話には興味がないし、姪の伯爵夫人は、とにかく早く令嬢を誰か条件の合った男に嫁がせて追い出したいのですからね。私にしても、正直なところ、早くマールバッハ家の条件に叶った適当な相手に片付けて、御役御免にしてもらいたいのが本音です。でも、まあ、いくら何でもツェルプスト子爵は諦めなければならんでしょうな。ご正室にも勝るご寵愛のご側室がいらして、その方との間のお子様を継嗣とされているわけですから」
 ゴットルプ子爵は、乾いた笑いを残しながら、名残惜しげなツェルプストに一礼すると、その場を退散した。
 今宵の彼の役目は、ここまでである。これ以上踏込むと返って不自然になるので、後は別の役者にバトンタッチする為に舞台を下りたのだ。
 ゴットルプ子爵エドアルドは、その足でロイエンタール元帥夫妻に近づくと、エルフリーデに、首尾良く事が運んだことを伝える為に、軽く目配せをした。
 これで、この後、ツェルプスト子爵は、フレデリーケとの離婚に向けて本格的に動き出すことだろう。
 後は、フレデリーケ本人と相手のミュラー提督の問題である。
 エルフリーデは、叔父に対して小さく頷くと、周囲を見渡してミュラーの姿を探し求めた。
 ミュラー上級大将は、皇帝の御座所近くで、幕僚達に囲まれて話し込んでいた。
 今度の出征では、皇帝の本隊の後方の固める重要な位置で出陣するはずだと聞いている。
 敵との戦力差からも、彼の階級から考えても、万が一にも戦死するようなことはないだろうが、一旦戦場に出ればどんな不測の事態が起こるかわからない。
 フレデリーケとミュラーとの仲が進展するにしても、この親征から帰還した後のことになるだろう。その為には、まずはミュラー提督に無事にご帰還頂かなくてはならない。
 幕僚達と談笑している砂色の髪の穏やかな青年を、エルフリーデは、少し離れた場所からじっと見詰めていた。

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ゆうやん (10/21 12:33) 編集・削除

更新お疲れ様でした。
タイでの洪水のニュースはこちらでも毎日報道されているのでひょっとしてどこかに避難とかされてるのかな?と思ってました。お家のほうは大丈夫でしょうか?

いよいよ計画の全貌が明らかにww

>思わぬ幸運に、若い彼女が自分を見失ってしまったとしても、致し方ないのではないか
今まで頭悪い印象ばかりだった彼女ですが、確かに好きで始まったご奉公ではないですし、エルフィーの芝居でなく実際にこの手の事態に遭遇すれば、子供は取り上げられて親と路頭に迷うか、親子ともに路頭に迷う、というパターンもありえるわけで。ちょっと考えました。
あ、ベルばらのロザリーの旦那さんがこんな生い立ちだったような・・・脱線w

そして舞台はほぼ整った舞台でミュラーとフレデリーケがどう踊ってくれるのか、そこは本人しだいなわけですね!!

>天才シルヴァーベルヒ工部尚書も、無論その理屈は理解していたが、既に次代の主役は、自分達のようなテクノクラートであると見ている彼には、出兵による軍の弱体化はむしろ望むところであった。
あ~。私なんだかんだ言って彼好きです。自分とこではお亡くなりにしてしまいましたが、こちらではハーレクイン、本編どう活躍するかとっても楽しみです。
出征に関する文官と軍部の温度差、会場にもぐりこんで聞き耳たててみたくなったりしました。

続きも楽しみにしてますね

非公開 (10/22 21:10) 編集・削除

管理者にのみ公開されます。

Jeri (10/23 00:13) 編集・削除

>ゆうやんさん
ご心配頂いていたのに、お返事できなくてすみませんでした。
実は、洪水がニュースになった直後に、いずれ近いうちにこちらでまた生活用品の品不足になるだろうことを想定し、今月上旬にバンコクを脱出しておりました。
うちのコンドは高層階なので、洪水自体は心配ないのですが、停電になった時、階段で20階昇るのは、体力が…(メディカルスパより確実にダイエットできるという意見もありましたが、却下w)
というわけで、現在は、また別の国に来ています。
その件については、またネタになりそうなので、あらためて記事にします。
ただ、そこの家が長い間放置状態だったので、インターネットに接続できなかったんですよ。
今日やっと業者がセッティングしてくれて、高速接続ができるようになりました。
それまでは、ネットカフェでやっていたので、なかなか更新やメールの返信ができす申し訳ありませんでした。
ハーレクインは、ずっと更新できなかったので、今回連投してみました。
ベルヒ死なないバージョンは、絶対書いてみたかったので、ここで欲求を爆発させます。
そちらへも毎日お邪魔してますので、今後ともよろしくお願いします。

>非公開コメ様
>ひょっとして元ネタの歴史小説には架空の男装の軍人が出てたのでわ。
そうそう、そうなのですよ。
ついでに主人公の王妃様は道ならぬ恋に落ちて、その男装の軍人には、ずっと思いを寄せられていた幼馴染が至してw
丁度この手のお話しに感化されやすいお年頃のエルフィーは、すっかりハマってしまったという裏設定ですw

>白だっこちゃん人形
その表現力に敬礼!
ついでに言うと、平静を装っていて、実は嬉しくてたまらないロイロイだったりします。

あ、前のコメ、ご希望に従いこちらで削除しました。

ニコ動見て久々の更新!

すっかりご無沙汰でした。
9月は、ブログ開設以来、初めて、更新しない月になってしまいましたが、すっごく重いニコ動を観て、久々に戻って参りました。

祝、舞台銀英伝「自由惑星同盟編」が上演決定です。
http://www.gineiden.jp/doumei/

今回、予想通り河村隆一のヤン・ウェンリーで期待度大なんですが、他のキャストも、雨宮良、松井誠、西岡徳馬など、最初から知ってる役者さんの名前があって、帝国編より豪華キャストですね。
馬渕英俚可という人がフレデリカなんでしょうか?
それとも、前半メインの話でジェシカ?
http://talent.yahoo.co.jp/pf/detail/pp1225
なかなかきれい。

野久保直樹という人が、ユリアンか? と思ったんですが、年齢からして、アッテンボローか、ラップあたり?
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%87%8E%E4%B9%85%E4%BF%9D%E7%9B%B4%E6%A8%B9

個人的には、西岡徳馬氏が誰の役か気になります。
トリューニヒトか、逆にビュコック提督あたりなのか?

とにかく、オベ編でまた一時帰国するので、また毎日情報チェックします。

それにしても、よしりんの実物見て、完結編で、「ラング役で特別出演」とか不敬なことを考えてしまいました。

久々にハーレクインもどきも更新したいです。
明日中にアップできるか?

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葵猫 (10/05 06:59) 編集・削除

お久しぶりです。
同盟編、河村ヤンに中川晃教君(高音が素晴らしく綺麗な歌い手です)の名前に、ミュージカルか、なんて騒いでます。
脇も凄い豪華ですよね。
西岡さんが脇を固めてくれるとは驚きです。
あと、かつての奥方と離婚騒動ばかりが有名な大澄さんですが、アクション、ダンスは凄いですからね、実際舞台観た者からしたら頼もしい限りです。
ここの所すっかりミュージカル「ロミオ&ジュリエット」にはまってました。
城田君のロミオ、思いのほか素敵でした。
正直ロミオには少々大柄すぎと思ってたんですが、現役女子高生、女子大生のフレッシュな新人ジュリエット達
に負けず劣らず一途なロミオでした。
上原理生君の、ジュリエットの従兄で、彼女に片思いしつつ、彼女の母と不倫関係にある屈折したティボルトも
なかなかでした。
しばし銀英伝モードから遠ざかってましたが、久々に楽しくなりそうな気配、期待してます。
ハーレクインの続きもたのしみにお待ちしてますね。

Jeri (10/05 10:46) 編集・削除

>葵猫様
お久しぶりでございます。
今日からまたエンジンかけ直して更新していこうと思ってます。
そうそう、大澄賢也もいたんですね。
世間では「小柳ルミ子の元年下旦那」ですが、そういえば彼は元々ルミちゃんのバックダンサーから見初められたんですよね。
いったい誰の役なんでしょ?
私も最近、城田優に惚れました。
「ジウ」観てw
若いのにベッドシーンの似合ういい俳優ですよね!
この色気、まだとーり君には無理だと思いましたので、やっぱり彼がラインハルトで正解かなと。

ゆうやん (10/06 09:09) 編集・削除

おはようございます。配役どうなるんでしょうね~。
大澄さん=シェーンコップ説多いみたいですが。
中川さん、ユリアンかなぁと思いましたが最初10代前半は辛すぎますかね?大河で主人公12歳からスタートしたしありえなくはないと思うんですがw

>今日からまたエンジンかけ直して更新していこうと思ってます。
お待ちしてました~。薬をもられたままのフレデリーケさんの容態が気になってwwエルフィーの悪巧み(?)がどう展開するのか楽しみに待ってますね

Jeri (10/06 12:49) 編集・削除

>ゆうやんさん
私も賢也くんのシェーンコップは、案外はまり役かもと思ってます。
なんか、話が前半のものになりそうなので、女性キャストトップに出ている馬渕英俚可さんは、フレデリカよりもジェシカかな考えてます。
若い「はねゆり」さんの方が、出会った頃のフレデリカという方が年齢や雰囲気的にマッチしますし。

エルフィーの方、ちょっとやぼ用で昨日書けなかったのですが、7割くらいできてます。
今日明日中に更新できればいいんですが…

自分が嫌になる瞬間

メールや拍手で、複数の方々から、そろそろスピンオフエリザベート編を倉庫に収納することを奨められ、自分でもやるべきと思っていたのです。
で、いつものように、後でまた色々と直すのも面倒なので、もう一度読み直して、誤字脱字や不適当な表現、原作との不整合やストーリー上の矛盾などちゃんと直して収納しようと真面目に考えたのでした。

・・・・・が、すみません。
先程、3話目で挫折しました…
ってか、長いよぉ~(><)
何か自分で書いたの読んで自分で飽き飽きしてやんなっちゃった。
改めて、これ全部読んでくれた人達、すごいなと他人事のように尊敬w
書いてる時は気付かなかったけど、このエリザベート編、薄目の文庫本一冊分くらいの容量がありそうでコワイ。
更に考えると、今や44話も書いてちまったハーレクイン本編を最初から読んで下さった方。神です。
1話目からお付き合い頂いた方は、まあ、更新される毎に読むからそれ程長さを感じないとしても、40話以上をまとめて読まれた方、さぞお疲れだったことでしょう。
本当にありがとうございました…というか、貴重なお時間を頂いて申し訳ございませんでしたm(_ _)m
最初10回くらいで終わらせる予定の話だったのに、まさか、いつのまにか、NHK大河並みの長さになり、それでも終わらなさそうで、今は韓流歴史ドラマ的な長さ(内容ではなくあくまでも長さです)になろうとしているとは…

というわけで、スピンオフの校正を途中で投げ出して、現在60話完結を目指してハーレクインもどき本編45話を書いてます。

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べる (09/01 15:06) 編集・削除

まあ、いいじゃん。
校正後回しで。
ああいうのは暇になったときか、
真剣に書き直ししたくなったときにやるに限りまするw
と思うよ。

ゆうやん (09/01 21:52) 編集・削除

校正したり倉庫に収納するのは義務じゃないので自分なりのペースでぜんぜん大丈夫だと思います、はい。
読みやすいのは確かですが。長かろうがなんだろうが読みたいときは無理しても読んでしまうのが人の性wなんですよね~。

Jeri (09/01 22:39) 編集・削除

>べるさん
>ゆうやんさん
そう言って頂くと、また際限無く甘えてしまいそうですw
「山岡庄八は、『徳川家康』を自分で読み返して、途中で飽きなかったのかしら?」とか、今日ふと思ったりしてました。
いえ、あんな大家と一緒にすることが不遜だってのは重々わかった上でのことですが。

と言ってるそばから、45は、またまた長くなりそうです。

やっぱりな内容なおべ様舞台

色々並行作業しているうちに、すっかり更新が滞ってしまい、最近ではもっぱら他サイト様の作品を読みんで心を癒しておりますが、オベ様舞台の公式が更新されていました。

http://www.gineiden.jp/spec.html

主役の貴水氏自ら、オーベルシュタインの生い立ちに重点を置いた会話劇で、原作者のよしりんもOVA総指揮の田原氏も公認で、連載終了25年目にして、オベ様の公式過去が製作されるらしいです。

この辺んにyついては、長年自分なりのオベ像を持ってきたファンにしてみれば複雑でしょう。
私も、今まで801系、非801系合わせて数え切れない程のオベ二次創作の名作に巡り会ってきた立場上、今更そっとしておいて欲しいという気もないではないですw

映像で貴水氏は、オベについて、「重要なキャラでありながら、その過去が一切描かれていない」と言っていましたが、私としては、オベのバックグランドに関しては、原作及びOVAで充分彼の過去や、ラインハルトに与した動機が想像可能で、主要キャラだが、最重要キャラではないという彼の立場上、あの程度の表現で充分読者には、彼の決して平穏ではなかったであろう過去が伝わったはずだと思っていました。
むろし、オベというどこか神秘的な雰囲気を持つキャラには、あのくらいの「描かれなさ」が丁度よかったのではないかとさえ思えるのです。

私は、チケットとったし、しっかり見に行く予定ですが、さて、自分の頭の中ですっかりオベ様の過去が固まってしまっている方、今更の「公式」をどう感じられるのでしょうか?